ポンポコニャー
住宅街を歩いていた
フェンス越しにグラウンドのような開けた広場があり、溝、植え込み、歩道という並びの道だった
広場沿いにぐるっと歩いているうち、目的が徐々に分かってくる
私は動物園へと向かっていた
その途中、両手で抱えきれるくらいの水槽が、植え込みの中に置かれている
動物園が近いので、展示の一種だと思うんだけど、特に柵や蓋なんかは無い
普通に手を伸ばせば触れる距離に、タヌキが展示されていた
ちょっと身体の大きなオスらしき個体と、毛が薄めのメス
ウサギより一回り小さい身体つきで、なぜか水槽にぷかぷか仰向けに浮いている
タヌキのはずだけども、きなこみたいな色味で全体的におもちみたいな質感
漫画みたいな顔付きで、すっごくカワイイ
かわいいけど、その世界ではたぬきはそういうものなので、フーンと思っただけで私は動物園へと向かった
動物園での出来事については、あんま思い出せない
多分、大きな動物に乗ってたと思う
数週間~数ヶ月滞在して、大冒険をしたはずです
目的であった動物園からの帰り道、また広場沿いの道をぐるっと歩き帰った
タヌキの水槽はまた同じところにあって、遠目に見てもちょっと感じが変わっている
オスとメスはいつの間にか子供を産んでいたらしく、ちっこい赤ちゃんタヌキが六匹ほど並びくうくう寝ていて、もうちょいおっきめ大福サイズの子供タヌキが三匹泳いだり、水槽の外に出ていた
両親のタヌキも、ラッコみたいなポーズで水槽を泳いでいる
前に見たときよりもぷくぷくした質感のメスを水からすくい、手のひらに乗せて観察した
警戒心が無いタヌキは、手のひらからちょっとはみ出るくらいの大きさで、おとなしく目をぱちくりさせていた
大人しいし、柔らかくてとてもかわいい
でもきっと、これはタヌキじゃないな、と気付いてくる
水槽の傍らには、ポンポコニャーと書かれた名札があった